
日本では江戸時代から庶民に愛されてきたダルマ。「商売繁盛」「家族円満」など、人々の願いが込められてきたこの縁起物は、今も多くの人に愛されてやまない。普通、ダルマと言えば、真っ赤な色に染められた片目のダルマをイメージするはずだ。しかし、仙台で見つけたダルマは、サイケデリックな風采で、不思議なオーラを辺りに散らす。ダルマにまつわる不思議に耳を貸してみよう。
取材:鈴木隆文

先日、先代の松川けさのさんがお亡くなりになられたようですね。ご冥福をお祈りします。
はい。ありがとうございます。お婆ちゃんはここに嫁いでから60余年、ずっとダルマづくりに携わってきましたが、83歳で逝ってしまいました。今は、次にこの仕事をどうつなげていったらいいのか、それを考えているところなんです。けど、松川ダルマがいろいろな方から必要とされていることを実感すると、「あなた方が頑張れよ」って、 段々ね、私たちの気持ちがダルマづくりに向かうように、状況が仕向けられているみたいなんです(笑)。
やはりこのダルマには、先祖たちの念のようなものが受け継がれているのでしょうか?
170年も昔の江戸時代から先祖が代々受け継いでやってきた伝統のダルマ、けさのおばあさんが9代目で今度私たちが10代目ですからね。松川ダルマは、仙台藩士の松川豊之進が創始して、その後は、藩内の武士たちの内職として受け継がれてきたものなんです。眉毛は本毛、顔は群青色、腹部には宝船、福の神、松竹梅などが描かれています。四方八方をしっかりと見据えられるように、最初から両目が入っています。一風変わった見た目は、派手好きで独眼だった伊達政宗の想いや願いをダルマというカタチにしようとしたものらしいですね。


腹部が宝船に!金運を運んできてくれるそう

水分をよく含んでいる
もちろん、けさのおばあさんもダルマさんへの想いというのは強かったのでしょうね?
それは、もう毎日毎日、このダルマさんのお陰でここまで来れたって感謝の気持ちでつくっていましたからね。「この歴史あるダルマを私の代で絶やすことはできない」ということは、口癖みたいにしていつも言っていましたね。ダルマを通じた縁というのですか? おばあさんは、そういうものに守られてきた人なんですよ。
縁ですかぁ。
とにかく、おばあさんがこの作業場にこうして座っていると、「おばあちゃん元気ですか?」なんて、通りかかる人が、お年寄りだけじゃなくて若い人も子供も話かけてくるぐらい。全国からおばあちゃんに会うためにやってくる人も沢山いましたからね。縁はここで育まれたということもありますね。縁でもっと不思議なのは、お婆ちゃんが逝く間際や逝ってしまった後に、不思議と、自然にいろいろお婆ちゃんに縁のある人が集まってきたりしたんです。


それは具体的に言うとどのようなものでしょう?
例えば、病院ですね。お婆さんが入院していた病院の先生が医師の国家試験を受けるときに、お婆さんがつくったダルマを買っていたことがあったり。鍼灸の先生や精神科の先生も、お婆ちゃんのダルマを持っていて心の拠り所にしていたり。病院に来ていたアナウンサーの方が、館内で「松川けさのさん」というアナウンスを聞いてビックリしたり、とか。ちなみに、その方は新人のときにお婆さんに絵付の仕方を習ったことがあるようなんです。「ああ、みんなダルマさんに導かれて、最後にお婆さんにお別れを言おうと一堂に集まってきたんだねぇ」なんてことを家族では話していたんですよ。
確かにそれは不思議な縁ですね。
松川ダルマを買った人にも不思議なことは起こるみたいですね。毎年毎年、沢山の感謝のお手紙をいただきますから。子供ができなかったのに子宝に恵まれた、幸せな結婚できた、倒産しそうだった会社が持ち直した、大学入試に合格できた、などなど。そういう報告があるから、私たちも、使命感みたいなもので細々とやっていけるんです(笑)。このダルマで儲けるなんてことはできませんよ。


10代目となるお二人もずっとダルマづくりをしてきたのでしょうか?
はい。私はずっと、お婆さんのアシスタントという形で手伝いをさせてもらってきました。お父さんの方は(旦那)、実の子ですから、子供の頃から、ずっと手伝いをしてきて、学校を出てからはずっと勤めに出ていたものですから、空いた時間に手伝いをしてきているんです。でも、今でも私は、ついついお婆さんを頼ってしまって、作業している間も何かお婆さんが見てくれているような気がして、「ここどうやってやったらいいんだったけね?」ってひとり言のように聞いてしまうんですよ(笑)。
ダルマづくりで難しいのはどんな点になるのでしょうか?
色の出し方や絵の描き方なんていうのは、難しいのではないでしょうかね。松川ダルマは時代が進むにつれて少しずつですが、変化してきているんです。それは、塗料が手に入らなかったり、ニカワを使わなければいけなかったり、ダルマづくりに必要な素材自体が変ってきたということもあるんですけどね。時々は、「あ、これは、こうじゃないゾ」そう言って、お客さんの家にある古い松川ダルマを持ってきてくれて、見本として見せてくれるなんてこともあるんです。だから、お客さんも一緒になって松川ダルマという伝統を守ってくれているんです。


松川ダルマはみんなに愛される存在なのですね。
今は、観光客がお土産で買っていくか、年始に縁起物として買っていくか、そのどちらかがほとんどです。だから、彼らのために、ひとつひとつを心を込めて感謝しながらつくっていけたら、それが何よりも大切なことだと思います。でも、心配なのは、お婆ちゃんみたいに、取材やお客さんに対して、できるかしらということなの。お婆さんは、もう取材の方が来るとカクシャクと話して、美容院行ってお洒落して、背筋もピンと伸ばして、それでカメラに向かってニッコリ笑いますからね。それで普段は、毎日毎日、みんなのためにダルマづくりに励むんですからねぇ。真似できないにしても見習わないといけない。ウチが家族仲良くやってゆけているのだって、お婆さんが立派なダルマ職人で、ダルマさんが不思議な縁をつないでくれているお陰なんですからね。ね、お父さんっ。
本郷だるま屋
宮城県仙台市青葉区柏木137

本郷久孝 + 本郷尚子
1948年、1952年生まれ、本郷だるま屋10代目、本郷だるま職人。

5 コメント
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12月31日2008年
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12月9日2008年
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10月28日2008年
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Posted by: Vilma Babers @ 1月31日2012年
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Posted by: air multiplier @ 4月20日2012年
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Posted by: air multiplier @ 4月21日2012年
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Posted by: louboutin sales @ 4月21日2012年
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Posted by: bladeless fan @ 4月21日2012年