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小さな街のロボット屋さん : テムザック

3月18日2008年 カテゴリー: ビジネス, 製品

小さな街のロボット屋さん : テムザック

北九州市という地方都市で、最先端のロボット開発を行ってきた人物がいる。訪ねてみると、決して大きいとは言えない本社ビルを持つロボットメーカー。わかりやすいコンセプトのロボット商品を売るこの会社が追い求めるものとは一体何なのだろう?

取材:鈴木隆文


無造作に並べられるロボット『番竜』

在庫として並べられるロボリア

テムザックのロボットは実用性があり、尚かつビジネスベースで考えられている点がユニークですね。

テムザックは企業ですから、まず、売っていくことから考えないといけません。だから実用ロボットにこだわっているのです。ロボット技術というものが、本当に人々の生活の中で役に立たないと、消費者はお金を出さないんです。いろいろなメーカーが、二足で走ったり、踊ったり、指揮するロボットをつくっていますけど、テムザックでは、それとは別のところでロボット技術を活かす。テムザックでは、まず、「売る」ということを第一に考えています。

なるほど。ところで、髙本社長はロボットに対して少年の頃から抱いていた熱い想いといったものはなかったのでしょうか?

残念ながらないんです。大学でもロボットとは関係のない法学部でした。とはいえ、僕は、考古学にロマンは抱いていました。だから、あの頃は、発掘ばかりをやっていたんです。面接にも、ジーンズと下駄で参上するような人間だったんです。で、そんな僕でも就職させてくれた先が、とあるフォークリフトメーカーだったんです。

遠隔操作ロボット『テムザック4号機』

フォークリフトメーカーですか、随分ロボットとは遠い気がします。

僕は、生産管理や営業を担当していて、特約店契約や営業に走りまわるという日々です。まだ、ロボットとは全然関係ないし、研究開発とも関係ありません。で、そうこうしているうちに、僕は、髙本商会という家業を継ぐことになったんですね。この会社では主に自動車の部品をつくっていたんです。でも、中小企業ですから、厳しい生き残り競争があります。その競争に勝つためには、新しいものを考案しないといけないわけです。

どのようなものを考えられたのでしょう?

僕が関わって、最初にやったのトロール船用のベルトコンベアです。これは、魚を洗って、ウロコを落として、三枚におろして、カマボコの材料にまでできる機械です。で、そのコンベアを用いて、その後は、うどんとか焼きおにぎりとかの冷凍食品製造のベルトコンベアなども製造するようになります。とにかく生き残っていくために、スピーディーに時代に即したことをやっていかなければならなかったんです。

なるほど、商売人というか、常にビジネスマインドがあったわけですね。

それはビジネスマインドというよりは、地方の中小企業ですから、そうしないと生き残れない(笑)。思い付いたら実行あるのみなんです。

でも、まだロボットが登場しませんね。

ロボットをやるようになったのは、ベルトの着脱が簡単にできるコンベアを開発し、特許を取った後です。丁度その頃、幸運にも、食品衛生が厳しくなっていた頃でした。それで、このコンベアがヒットしたんです。そこで得た利益で、開発したのが自社受付用のロボットでした。

ここが、ロボットメーカーのオフィス!

やっとロボットが登場しましたけど、どうして突然ロボットを開発しようなどと思い付いたのですか?

「人ができないことをする」という気持ちは常に持っていて、その気持ちをベースに「まあ、宣伝になればいい」「我が社には、これだけの技術力があるんだよ」ということを伝えるために、取り組んだんです。言ってみれば、ファクトリー・オートメーションの延長戦上にあるものですよ。それが1号機にあたります。これを発表したのが、ソニーやホンダが丁度、ロボットの開発をしはじめた頃だから、随分と先走っていました。

当時としては、かなり先端ですよね。

会社のお金も数億円くらいは注ぎ込みましたからね(笑)。社内からも、もういい加減にロボットにはお金使わないでほしいという声もあがってきていました。だから、もうロボットはおしまいにしようと思っていた。ところが、県やら取引先が、「支援するから、開発をつづけてほしい」ということを言ってくるわけです。


市販製品として扱われるロボット『番竜』

購入者は、色も選べる

そう言われても、困りますよね?

はい。だから、僕も最初は逃げ回って、会社は起こさないつもりでいたんですよ。でも、当時、僕のかみさんが、群馬県は草津温泉の出身で、北九州にいたら両親の面倒が見られない。「実家に帰る」と言い出したわけです。そのとき、彼女に「機械屋なら人の役に立つものつくれ」と言われまして、「よし、じゃあ、PHS回線で遠隔で動かせるロボットをつくろう」。そう思って、開発は続けていたんです。それが遠隔操作ロボットのテムザック3号機、4号機です。でも、4号機で本当におしまいにしよう、そう思っていた。でも、どうしてだか、いつのまにか出資する人が出てきてしまって、ロボットをつづけるはめになるわけです。

そこから会社としてのテムザックの歴史がはじまるわけですね。

産業になるかどうかもわからない。でも、ロボット開発が面白いということだけは、わかっていた。僕は、機械屋だったから、ロボットにしかできないということがあるとわかっているわけです。

人間搭乗型2足歩行ロボット『WL-16R3』

レスキューロボット『T-53援竜』

なるほど、では、そのロボットにしかできないことというのはどんなことですか?

危ないことや、人間には出来ないようなことです。テムザックでは、あえて人間がロボットを動かすということを軸にロボットの開発を行っているんです。キーワードは「人工知能」ではなくて、「遠隔操作」。人間の脳で考えて、ロボットを動かせばそれでいいんです。そうすれば、地球の裏側にいても、1トンのものを人間が動かすことができるわけですから。うちのレスキューロボットにしても、お留守番ロボットにしても、基本的には、機械の背後には、人間がいるんですね。

お留守番ロボット『ロボリア』はヒット商品

実用性があり、現実的であるテムザックのロボットは、どれも非常にわかりやすいコンセプトを持っていますね。

我々は、消費者とつながっているロボットの総合販売会社ですからね。 「売る」というところから考えると、自然とわかりやすくなるんでしょうね。ただ、これを産業にするというのは、まだ少しの時間がかかりそうですね。特に日本では、キャッチアップを土台に商いがまわってきた国ですから、前例がないと話が先に進まないんですよ。だから、うちでは、まずは海外で実績をつくってしまおう。そう考えているんです。

テムザック
福岡県北九州市小倉北区木町1-7-8

髙本陽一
1956年、北九州市生まれ。テムザック創業者。

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