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カビ格闘狂想曲 : テムス

1月29日2008年 カテゴリー: ビジネス, プロジェクト, 国内

カビ格闘狂想曲 : テムス

カビに情熱を燃やす男がいる。カビという生活悪と向かい合い、日夜、カビと格闘するこの人物は、不思議な薬品との出会いから、美しきカビの世界に目覚めた。そして、カビという微生物と戦う使命を背負って、カビの核を根絶させるカビ退治の工法を世に広めようと、東奔西走に明け暮れる。一体、彼の頭にあるものって?

取材:鈴木隆文


顕微鏡で見たカビ

まるでススキのよう

これも生き物なのだ

なんだかノスタルジックな光景!

伊東さんはカビ博士と呼ばれていますが、カビに関しての学問を専攻されていたのですか?

いいえ。あれは単にわかりやすい呼称ですね。カビ専攻ではありませんでしたけど、大学での専攻は化学でした。でも、カビの研究は大好きです。カビのことだったら、一日中顕微鏡を覗いていても飽きませんし、一晩中でも話していられますね。何よりも、写真に映し出されたカビは美しいですからね。

近頃、広島を中心にメディアに多く取り上げられていますね?

取り上げられるようになったのは、東京で商材が売れ始めてからですかね。アカデミックな機関には、細分化されたカビの専門家は沢山いますけど、商売ベースでのカビの生態を語れる業者は皆無ですからね。特にハウスクリーニング業者などは、とにかく目に見える汚れの除去を優先します。ですから、目に見えない汚れの除去には無関心なんです。環境云々やカビの知識というのは、彼らにはまったく不要なものなんです。お金になりませんから。たしかに、お客さんとしたら「これはペニシリウム属、あちらはリゾープス属のカビですよ」と言われてもわからないですからね(笑)。けれど、カビに対して世の中の認識を高めるためには、そういう専門用語もどんどん使っていかなければいけないと思うんです。僕の会社では、モルド研究室を設立して、そこで培ったノウハウでカビに困っている企業にコンサルティングも行っています。そうした知識を広める活動が徐々にメディアにまで届いてきたのだと思います。


ステップ1:洗剤を噴霧した瞬間

ステップ2:カビの色が茶色に変わる

ステップ3:泡の中の洗剤がカビを攻撃中

ステップ4:カビが核から分解されていく

目に見えない汚れの除去というのは、具体的にはどのようなものでしょう?

現在は、多くの人が安全な環境を求めるようになってきました。目に見えない汚れの除去というのは、病的微生物の排除ということを意味します。それを行える技術が、僕らの扱っているモス工法、モルドアウトサニテーションシステム工法です。

具体的にいうと、モス工法というのはどういうものなんですか?

この工法では、4種類の殺菌洗浄液剤と4種類の保護剤、計8種類の洗浄保護剤を汚れの特性に合わせて用います。これらの特殊な洗浄剤が壁や木材などの建材に浸透すると、カビの核となる菌、つまり核菌を包み込んで分解して、根本からカビを取り除くことができるようになるわけです。その上で、保護剤を用いて防カビ、防水を施すので、しばらくの間は、カビのいない状態が保てるわけです。





種々のデータ集めのため、さまざまなカビを培養している


日々行われる地道な検査

培養の検査

他のカビ取り剤とはどう違うのですか?

数年前までは、マーケットに出回っているカビ取り材は、すべて酸性でした。ウチの商材は、最初からアルカリ性なんです。カビという生き物は、弱酸性の世界に住む微生物です。カビが生えているところは、1cm四方の中に約20億から40億の胞子がいると思ってください。ふつうは、そこに酸性の洗剤をかけて、ブラシでゴシゴシとこするわけですね。そうすると、どうなるかというと、ちょうどタンポポの種が風に乗って飛んで行くように胞子が飛んで行きます。そして、飛び散って生き残った胞子たちは、新たなコロニーを別の場所につくり上げます。しかし、このカビたちは進化(抗体)をしはじめ、次に同じ濃度の洗剤を掛けても効かなくなってしまうわけです。

じゃあ、テムスの商材はアルカリ性ということなのでしょうか?

はい。ウチの洗浄剤は、次亜塩素酸ナトリウムを含みますからアルカリ性です。一般に、アルカリ性の洗剤が怖いイメージで見られるのは、大きな誤解です。あれは、アルカリ性の洗剤が、酸性の洗剤に混ぜられて使われると、ガスが発生して危険になるということなのです。次亜塩素酸ナトリウムというものは、水道水の消毒やプールの消毒、漂白剤など生活に広く用いられているものです。使い方さえ間違えなければ、危険なものではないんですね。それでも、テレビや雑誌の影響力というのは凄まじいもので、簡単に「悪」のレッテルを貼られてしまいます。

カビの研究を愛してやまない伊東社長

ズラリと壁一面に貼られているのはカビの写真とデータ

その洗浄液剤は建材に悪い影響はないのでしょうか?

基本的に、成分は、食品添加物に使用されているものになるため、建材はもちろん、人体や動植物、環境には優しいものです。それにブラシでゴシゴシと擦る必要もないですからね。

なるほど、聞いていると、まるで「魔法の水」ですね。研究開発は、どんな風に進められたんでしょうか?

僕が最初にこの薬品に出会ったときも、「これは凄い!」、そう思ったんです。その頃、僕は造園業だけを営んでいたんです。で、業務上、汚れには日々向き合わないといけない。汚れの原因というのは、基本的にはカビ、サビ、ほこり、油なんです。その中でもカビという存在には、特に悩まされていました。そんなときに、後にウチの工場長となる人物が、今の商材の原型である薬品を持ってきたんです。使ってみると、ビックリするくらいカビが除去できる。「是非、世に出してみたい!」、そう思ったんですね。しかし、同時に、僕の中には、「この液体、大丈夫かな?」という想いも沸き上がってきました。洗浄剤としては、なんで汚れが落ちるのかを理論的にデータを用いて説明できなければいけませんから。そこで、7人のメンバーで共同開発をはじめたんです。その後、テムスケミカルという製造メーカーを設立し、研究開発を行い、今の、高圧放水でも除去できないカビが簡単に落ちてしまう商材をつくりあげたんです。


木材編、ビフォー

木材編、アフター

家の白壁編、ビフォー

家の白壁、アフター

いかにもヒットの予感が臭う商品ですね。

ところが、どういうわけか、最初は、全然売れなかったんですよ。デモンストレーションすると、みんなその威力にビックリするんだけど、売れない。そうすると、7人いたメンバーも、ひとり辞め、ふたり辞めという具合に、結局は、たった2人になってしまったんです。普通だったら、そこで諦めると思うのだけど、僕には、「どうしてもこの洗剤を世に出したい」そういう強い想いがあったから諦めなかった。だからテムスケミカルができたんです。動き出したのは、中小企業庁が主催するベンチャーフェアに出展した後ですかね。その後、大手メーカーからのOEM生産の注文なんかが出てきたりして。

ところで、伊東さんは化学専攻だったのに、造園業を営んでいたのはどうしてなんですか?

実は、自分は、随分と人とは違う道を歩んできているとは思うんです。最初に3年間勤めた会社こそ、児玉化学工業という化学を役立てられる会社でしたが、その後は紆余曲折がありました。20代では、焼き鳥屋を営んだりもしました。その後、世の中で一番厳しい仕事をしてみようと、外資系の保険屋さんに入って、そこそこの営業成績も残しました。そして、広島に転勤。そこで広島という土地が気に入ってしまったんですね。数年後に、会社から「東京に戻れ」と言われて、「もう満員電車に乗りたくないなぁ」そう思って、辞職したんです。それで、広島で息抜きがてらの手伝いではじめたのが、造園業だったんです。それがいつの間にか本業になるまでになっていて、その仕事を通じて、今の仕事の柱となる薬品に出会うことになるわけです。だから、今の自分があるのは、すべて巡り合わせのお陰なんですよ。

ちなみにこのおそうじセットは、3,675円。商品として結実するまでには涙ぐましい努力があったはず

モス工法がどんどん、世に広まるといいですね。

そうですね。日本では、商品にノウハウをプラスし企業相手に売っていくとともに、個人客相手にはカビの生態の講演をしながら商品を買ってもらえるように、働きかけています。それから、日本は世界でも有数のカビと共存している国です。今は温暖化でカビが異常発生しはじめています。カビが大量発生した後では、もう手遅れですから、モス工法を通じて、カビのプロフェッショナルを全国に増やしていきたいと思っています。そして、大きな大きな夢は、この洗剤を世界ブランドに育てていくということです。そのためには環境基準が世界一厳しいと言われるドイツでの拠点づくりが、目下の目標なんです。

新しいことに挑戦する、その心意気がまさにベンチャーですね。

昔、新聞で読んで、覚えている好きな言葉があるんです。それは、「過去を悔いることなかれ、将来を案ずることなかれ、万事を怖るることなかれ」という言葉です。過去の栄光にしがみついたり、将来のことに想いあぐねたりせず、強い想いを持って怖れることなく、まずは一歩を踏み出していくこと。僕は、それが一番、大切なことだと思うんですよ。

テムス
広島県佐伯区観音台2-21-33

伊東良晃
1952年、北海道札幌市生まれ、カビ研究家、テムス代表取締役

2 コメント

  1. いいっすね!

    Posted by: 弥史加奈子 @ 8月22日2009年

  2. This is good Internet marketing and public relations.

    Posted by: christian louboutin @ 11月10日2011年

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