
「田舎暮らし」という言葉に憧れを抱く人の中には、若い世代の人間も多い。長野市は善光寺のすぐ近くで、地域に根ざした文化事業を営むナノグラフィカは、そんな暮らしを実践している3人から成るユニットです。ユニークな活動と素朴な暮らしを行う彼らが感じていることってどんなことでしょう?
取材:鈴木隆文
翻訳:クレア田中
編集室「ナノグラフィカ」、喫茶店「金斗雲」、 住居を兼ねる古民家
ナノグラフィカが毎月一度発行する『街並み』には、何気ない長野の日常が載せられている
ナノグラフィカはできてからどの位経つのでしょうか?
ナノグラフィカが出版事業をはじめてからは、今年で5年目。起ち上がったのは、なりゆき上の流れでしたね。元々は、3人とも同じ信州大学の学生だけど、3人とも長野市の出身じゃないの。
どうして3人で活動をはじめることにしたのですか?
北海道の函館出身の高井綾子、奈良県出身の清水隆史、それから長野県松本市出身の私(増沢珠美 )。年齢も、30代ということだけ、一緒。みんな教育学部の学生だったのね。大学3年のときに、清水が、空き屋を物色しはじめて、アトリエみたいなことをはじめ出したの。あれは、23歳くらいのときね。それが今、主にライブハウスとして運営しているネオンホール。それが、すべてのはじまりだと思う。
ナノグラフはいくつ事業をお持ちなのでしょう?
ナノグラフィカのメンバーが取り組んでいる事業は、主に3つあって、ひとつは、出版事業、もうひとつは、喫茶店。そして、清水が別のメンバーとやっているライブハウス「ネオンホール」になります。
地域出版事業は、誰がいい出しっぺだったのでしょうか?
出版事業を最初にやりたがったのは、雑誌好きでもあった高井でしたね。元々、彼女は、編集とか執筆に興味があったみたいで、大学卒業と同時に、長野小町という月刊誌に就職したくらいですから。
最初の出版物は何でしたか?
卒業から3年経ったあたりで、何かやりたいということになって、街歩き地図というのを作成してみたわけね。ほら、東京の高円寺あたりに行くとよくあるような勝手にセレクトマップみたいなものを1,000部くらい刷ったんです。つくってみたら、この地図の評判がとても良かったの。で、これをたまたま見つけてくれた地域出版の人が編集予定の善光寺本の巻末に掲載したいということを言ってくださって、私たちはもう喜び勇んで歩きまわって、地図を作成したんです。それが仕事として、はじめて受けた出版物だったんですね。
今の出版活動は、どのような状態で行われていますか?
今は、清水と高井は、それぞれフリーランスとしても新聞とか雑誌媒体とかで執筆と編集活動をしていて、ここ、喫茶店「金斗雲(きんとうん)」を編集室として使っているの。その他にも、今は、印刷会社の助けを借りながら、月1冊のペースで発行している小冊子「街並み」(2005年8月から)やB4版1枚で西之門町周辺の情報を「西之門しんぶん」として発行していますね。
ところで、増沢さんはこのユニットの中で、どんな役割をしているのでしょうか?
私は基本的には、ここの喫茶店「金斗雲(きんとうん)」の運営と経理とか生活全般とかを任されているの。「生活とは、こういうものだ」ということを体現するのが、私の係と言ったらいいかな(笑)。金斗雲は、ナノグラフィカの編集室でもありながら、私と私の娘と高井、3人の住居、生活の場でもあるのね。だから、そういう意味では、生活、喫茶店、編集室が織り成される必要があって、それをつなぐのが私の役割だと思います。
喫茶店にはギャラリーも併設されているんですね?
そうですね。でも、私は、母親として、ここで福太郎の面倒も見ていて、生活の場なわけですからね。ここで展覧会をやる人は、子供に作品を触れてしまうということを覚悟しなければならないわけです。
エッ! 子供に作品が触れられてしまうって、作家さん的には酷ですね。
そうかもしれないですね(笑)。お客さんだって、子供がワーワー騒ぐなかで平気でいられなきゃいけないし、喫茶店なのに、ひとりゆっくりくつろぐっていうことは難しいんですよ。でも、その代わり、ギャラリーとしての、作家のセレクションに対しては、厳しい決まりとか、こちらの意図はあまりない。それに、ここに集まってくる人たち同士は、お互い話かけて、友達になったりするので、そういう場としては面白い空間でしょうね。
地域に密着した文化活動は、案外難しいと思うのですが。
私たちも、ここの土地では余所者で、基本的には他の土地から移り住んできている。だから、いろいろ試せるというのはあると思うの。自分が生まれ育った土地で、何か発見するということは、そんなに簡単ではない。でも、一方で、まずは自分たちのまわりを自分たちで盛り上げていこうという気持ちも大事だと思う。
こういう暮らし方、生計の立て方というのは、都市部に住む人からはうらやましがられるのではないでしょうか?
田舎暮らしとかロハスとか、最近は流行ってるでしょ。で、うちに来るお客さんも「いいですねぇ、こんな暮らし」って言っていくんですよ。でも、彼らは、本当にはわかっていなかったりするわけよ。かわいらしい木材の椅子とか、きらきら陽光の降り注ぐ木陰とかは想像するのだけど、生活の中で見るかみきり虫までは想像していないわけ。でも、長野でも今はロハスブームね。
長野県内でも、ロハスがブームなんですかー。
でも反対に、同じ長野県でも、戸隠のような本当の田舎がに行くと、私たちのような若い世代が憧れる田舎暮らしはほとんど理解してもらえない。「どうして、おめぇらは、あえて粟だとか黍だとか、玄米だとかばっか食うだ。白米が一番うめぇに決まってんだろ。どうして、わざと田舎くせぇことせにゃ、なんねぇんだ」って。自分たちが本当に苦労したから、都会の生活に対しての憧れというのは、相当強いみたい。だから、東京のメディアが取り上げるものに価値を置くという文化は、相当強いんだと思うな。

地域の人たちに新しい活動を受け入れてもらうには、やはり時間がかかるのでしょうか?
1年間くらいやっただけで、「はいっ、やってました」っていうのは、やっぱり違うと思うんです。私たちも5年目に入っているけど、信頼を得るには続けていくことが大事だと思います。続けていくことで、はじめて人が受け入れてくれると思うの。ここ(喫茶「金斗雲」)も、最初は、「一体、何の集まりだ、新興宗教じゃねぇのか」なんて、近所の人には怪しまれたりもしたけど、ずっと続けて「西之門新聞」配って、自分たちが何者であるかを発信するようになってからは、少し変わってきたかもしれない。理想は、地域に溶け込んで、「古いものと新しいものを融合させること」なのかもしれないけれど、それは口で言うほど簡単じゃないし、少しずつ少しずつやっていくしかないのだと実感してます。

ナノグラフィカ
長野市西之門町930-1
※
高井綾子、清水隆史、増沢珠美の3名からなるユニット。これまで音楽・本・ギャラリー・喫茶店などの文化事業を通じて地域活性のプロジェクトに取り組んできている。

増沢珠美
1970年、長野県安曇野市生まれ。ナノグラフィカのメンバー及び喫茶店主。
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福太郎くんのテレビ、小学二年の娘とみました�
あまりのかわいさにうっとりしてしまいました。
福太郎くん�またテレビにでてきてね�
Posted by: 福太郎くん @ 1月7日2009年
セクハラ爺さんが常連でいます
みなさんお越しのさいは気をつけてください
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